知っておきたい日本の健康保険

本記事は日本に住む外国人だけでなく、国民健康保険の加入を考えている人すべてを対象とした記事になります。

アメリカでは医療費が高額!?

アメリカでは医療費が非常に高いので、旅行に行く際には保険に入っておかないとマズイという情報を耳にしたことがある方も多いかと思います。
調べてみると、海外旅行者がアメリカで50日近く入院した際に、約1億円の医療費を請求された、なんて情報もありました。
なぜこんなに高いのか、と言うと「医療費の基準を市場原理に委ねている」という点が大きいです。

一方で日本では国家が医療費の基準である診療報酬の決定を行っており、医療費は一定に抑えられています。

http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411.html

アメリカの医療は日本の医療に比べて営利の面が強く、日本の医療はアメリカの医療に比べて福祉の面が強いんですね。(賛否あるかと思いますが、個人的には日本の医療制度の方が優れていると思っています。)

日本の健康保険について

健康保険は公的な医療保険です。
病気やけが、またはそれによる休業、子供の出産といった事態を迎えると、思わぬ出費が必要になります。
いくらアメリカに比べて日本の医療費が抑えられていると言っても、すべてを個人負担にすると厳しいので
日本では国民全員が公的な医療保険である健康保険に加入し、日頃から加入者が保険料を支払い、それを財源に必要なときに必要な人が保険給付を受けられる仕組みができています。

健康保険の恩恵を預かれる代表的な例を挙げると、

・病院の窓口で健康保険証を見せると、医療費の3割を支払えば医療を受けられる。
・乳幼児の場合には、乳幼児医療証を提示することで無料で医療を受けることができる。
・出産時に出産育児一時金(約42万円ほど)を支給してもらうことができる。
・1ヶ月に支払った医療費が一定額を超えた場合に、その超えた金額を支給してくれる(高額療養費制度)

日本人はこれらの恩恵を当たり前として受けているため、ありがたみが薄れている感じがしなくもないですが、
できるだけ医療にかかる費用に関して個人の負担が重くならないようになっています。

特に出産一時金と高額療養費制度は私ども夫婦も利用させていただきました。
妻が出産前後に2か月弱ほど入院していたのですが、高額療養費制度で約50万円、
出産一時金で 42万円ほど国に負担してもらい、とても助かりました。(ただ、そもそも妊娠、出産を健康保険適用外であることがおかしいとも思っています。。この辺の愚痴はここまでにします。。。)

外国人にとっての日本の健康保険

日本を訪れた外国人旅行者の場合は日本の国民健康保険に加入できませんが、
在留期間が3か月を超える場合には、基本的に国民健康保険に加入する必要があります。

一方で在留期間が3か月を超える場合でも、以下の在留資格で来日している場合には健康保険に加入することはできません

・外交
・特定活動(”医療を受ける活動”または”その方の日常の世話をする活動”の方)
・特定活動(”観光、保養その他これらに類似する活動を行う18歳以上の方”または”その方と同行する外国人配偶者の方”)

その他にも在留期間が3か月を超えていても、以下のような条件に当てはまる方は日本の国民健康保険に加入できません。

・不法滞在など、在留資格のない方
・日本と医療保険を含む社会保障協定を結んでいる国(※)の方で、本国政府からの社会保険加入証明書(適用証明書)の交付を受けている方
・生活保護を受けている方
・75歳以上の方(後期高齢者医療制度の対象となります。)
・在留期限が切れている方

※以下のページを参照すると、2022年11月現在はアメリカ、ベルギー、フランス、オランダ、チェコ、スイス、ハンガリー、ルクセンブルクと締結しています。

http://www.nenkin.go.jp/service/kaigaikyoju/shaho-kyotei/kyotei-gaiyou/20131220-02.html

下記の方は国民健康保険ではない、別の健康保険に加入していることになりますので、国民健康保険に加入する必要はありません。

・職場等の他の健康保険に加入している方
・配偶者の健康保険に被扶養者として加入している方

国民健康保険加入が必要になる時期と必要書類について

以下のような際には、基本的に 14日以内に住む場所の役所で加入手続きをしなければなりません。

時期 必要書類
 入国したとき
(住民登録したとき)
・在留カード
・マイナンバー関係書類
 引越して市町村が移ったとき ・転出証明書
・被保険者証
・印鑑
・マイナンバー関係書類
 会社の健康保険をやめたとき ・健康保険資格喪失証明書
・印鑑
・マイナンバー関係書類
 扶養家族から外れたとき ・資格喪失証明書
・年金手帳
・印鑑
・マイナンバー関係書類
 子どもが生まれたとき ・母子健康手帳
・印鑑
・マイナンバー関係書類
 生活保護を受けなくなったとき ・生活保護廃止決定通知書
・印鑑
・マイナンバー関係書類

※上記書類を持って行って書類が足りないというケースはほとんどないと思われますが、役所によっては必要な書類が変わってくる場合もございますので、念のため役所の Web ページや電話でご確認いただけると幸いです。

※マイナンバー関係書類は以下の内どちらかになります。
1. 個人番号カード
2. マイナンバー通知カード(またはマイナンバー記載の住民票)と身分証明書(自動車免許証など)

14日以内に手続きを終えてしまうのがベストですが、意図せず14日を超えてしまったという場合もあるかと思います。
ただ14日を超えて加入手続きをしないと罰金があるということはないので、意図せず時間制限を超えてしまった理由を役所に正直に伝えてあげれば問題ないかと思います。

国民健康保険から脱退する時期と必要書類について

以下のような際には、国民健康保険の脱退手続きが住む場所の役所で必要になります。

時期 必要書類
出国するとき
(在留期限が迫ったとき)
・国民健康保険証
・在留カード
・マイナンバー関係書類
 引越して市町村から出るとき ・国民健康保険証
・印鑑
・マイナンバー関係書類
会社の健康保険に加入したとき ・国民健康保険証
・加入した職場の健康保険証
・印鑑
・マイナンバー関係書類
扶養家族になったとき ・国民健康保険証
・加入した健康保険証
・印鑑
・マイナンバー関係書類
死亡したとき ・国民健康保険証
・印鑑
・マイナンバー関係書類
 生活保護を受けるようになったとき ・保護開始決定通知書
・国民健康保険証
・印鑑
・マイナンバー関係書類

※上記書類を持って行って書類が足りないというケースはほとんどないと思われますが、役所によっては必要な書類が変わってくる場合もございますので、念のため役所の Web ページや電話でご確認いただけると幸いです。(印鑑はいらないとこも多いかと思います。)

※マイナンバー関係書類は以下の内どちらかになります。
1. 個人番号カード
2. マイナンバー通知カード(またはマイナンバー記載の住民票)と身分証明書(自動車免許証など)

健康保険加入しないとどうなるのか

加入しないことで罰金が発生するといったことはありませんが、加入は義務です。
健康保険に加入しないまま、病院で治療を受ける必要が出てしまったら全額負担となってしまいますし、
病院によっては健康保険に入っていない方を診察しないというケースもあるようです。
また病気やケガをしてから、健康保険に入るという都合のいい形を取れたとしても、結局住民登録した日からさかのぼって保険料を支払う必要が出てきます。
なので健康保険には必ず加入するよう心に留めておいてください。

コメント

タイトルとURLをコピーしました